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フィルパワーの選択
2016.10.20

フィルパワーの選択

フィルパワーの計測方法

ダウンの性能を比較する術として、現在ではすっかり定着しているフィルパワーですが、実際はどのように計測されるのかご存知ですか?

シリンダーの中に一定量の羽毛を入れ、一定の圧力をかけた後で、どれくらいの嵩高まで膨らむことができるかを測定し、それを数値化します。かつて不明確だったダウンの性能を比較する手段として、この計測方法を考案したのが、MEの創設者であるピーター・ハッチンソンです。

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フィルパワーが高いほど暖かい??

さて、このフィルパワーですが、フィルパワーが高いほど良い品質、と言えないこともないのですが、少し誤解をまねくこともあるようです。極端に高フィルパワーのダウンは大量に採取することができず、その手間と希少性から高額にならざるをえません。そうした高級ダウンを使っているから、安価でフィルパワーの低いダウンを使用しているものより優れている(暖かい)だろうという先入観を生むようです。

ダウンジャケットを筆頭とする防寒着、および極地における寝袋の果たすべき役割は、身体と外気の間になるべく複雑な空気の層を作ることです。つまり循環しにくい空気の壁を作ること。そうすることで、外気から身体を守り、また体温を外気に放熱させないようにするのです。

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ダウンやフェザーという羽毛は、キルティングの中で膨らみ嵩を増すとともに、空気の層を作り出します。このとき断熱効果に対して重要になってくるのは嵩の大きさや膨らみだけではなく、羽毛の密度も関係してきます。羽毛がたくさん詰まっている方が、より空気の層が複雑になるのです。これを比較する際には、フィルパワーを参考にしながら、充填されている羽毛量を気にする必要があります。

登山スタイルに合わせた、適材適所の素材選択

超高フィルパワーのダウンは少ない量で嵩が出せるので軽量化に貢献しますが、ダウン自体の密度が少ないという側面もあるのです。ダウン自体が少ないということは、湿気に対する不安がより強くなるとも言えます。軽く作れるのでビバーク装備やスピードクライミングに向きますが、キャンプをいくつも設営しながらルート開拓を進め頂上を目指す、長期にわたる高所登山には果たしてどうでしょう。

一方でフィルパワーの低いダウンで目指す厚みを達成するとなると量が必要になるため重くなってしまいます。この重量と暖かさ、そして使用される状況において求められるプロダクト特性のバランスの良いところ、丁度良いところを考えて、MEのダウン製品は企画されています。大切なのは求められる使命に適した材料を使うこと。やみくもに超高フィルパワーのダウンを使うことだけが正解ではないということですね。(価格も高いですし…)

半世紀にわたり超高所での登山を支えてきたMEならではの、適材適所のダウンフィルパワーの選択に共感していただけるでしょうか?